小説が書けない

小説が書けない時、代わりに吐き出す場所として

掌編小説『切花』

『切花』 音楽家を目指して上京して 酒と男で人生を駄目にした 誰かに声を聴いてもらいたくて その実伝えたいことなんて何もなかったのだ ただ、私がここに居るということを誰かに知ってもらいたかっただけなのに それに気付いたときにはもう、私の手はアル…

そこに還る

書けないね、ああ書けない。どんな作品でも、前半のどこか一小節くらいはつまらないものが紛れている。けどそれは不要じゃなくて、なんの伏線もなくても、どんな興奮がなくても、そこから何もかもが崩れ去るときの衝撃、それを大きくするために必要な積み上…

砂金(掌編小説)

ネタに使った人達、端的に言ってごめんな、ありがとう、ごちそうさま。 ―― 「御岳ちゃんの剣道はさ、なんていうか怖いよね」 そう言われた時、私は一心不乱に皿の隅のキャベツをつついていて、一瞬それが自分の事だと分からなかった。 「…はい?」 顔を上げ…

Too short to live gently.

「ここに居てはいけない」、いつだってそんなことを考えている。 ベッドの上で、パソコンの前で、行きつけのチェーン店で小説を書きながら、解剖室で指さされて笑われながら。それが進歩であるか堕落であるかなんてどうでもいい。僕は明日死ぬかもしれない。…

I hate you.

認知行動療法、自分語り、ヘイトスピーチ 誰かが愛しいのなら、絶対にその愛の証明として相手を傷付けたりしてはいけない。あなたの想いなんて、相手にはなんの意味もない。『愛してるから』なんて、『お前のためを思って』なんて。 ここで改めて書かせても…

小説が書けない

時間的に、肉体的に、精神的に金曜日の追試を受け損ねた。鬱がひどくなって立ち上がれなかった親の病院から胃腸炎の診断書をもらってきた親はそれを偽のものだとしてばれないようにしろと口を酸っぱくして言った大丈夫、全部、本当だから。嘘っていうのが嘘…