小説が書けない

小説が書けない時、代わりに吐き出す場所として

Too short to live gently.

「ここに居てはいけない」、いつだってそんなことを考えている。

ベッドの上で、パソコンの前で、行きつけのチェーン店で小説を書きながら、解剖室で指さされて笑われながら。
それが進歩であるか堕落であるかなんてどうでもいい。
僕は明日死ぬかもしれない。今日もし昨日と同じ日常を送ってしまったのなら、僕は死ぬまでに見れる世界を一つ失ったことになる。
還りたくなる過去は無い。希望を託せる未来も無い。だから、今この瞬間を生きるしかない。
急げ急げ急げ急げ、こうしている内にも心臓は止まりつつある。
走れ走れ走れ走れ、あらゆる要素が複雑に絡み合った僕の心の障害は、回復したり悪化したりを繰り返して、いつか弾みで命を絶つかもしれない。

前々から書いていた小説が書きあがった。とはいってもまだまだ雑だ。半分プロットみたいな出来事の流れしか記していない所もあるから夏休みまでに直すのもきつそうだ。
今週も試験で、あと大会の主催で会場の整備なども含めて土日は完全につぶれて、来週も追追試がある。
言葉遊びじゃない迫力のある文章を求める。それに出会えた回数はまだ少ない。ここには、たまに字書きでなくてもそういった文章を書く人が居る。
人間は嫌いだ、いつだって僕を虐げるから。
でも、たまに好きな人も居る。僕の持たない何かを持つ人は、尊い。僕を人間として扱ってくれる人の為に役立ちたくて、ポンコツなりに努力している。
世界は憎い、何度も戦って抗ってきた。
たまに、好きだ。おいしい食べ物、きれいな景色、好きな音楽を聴きながら小説を読み、書く時間。全て一人の風景だけれども。
まだ20歳になっていない。けれども、波瀾万丈な人生を生きてきたと胸を張って言えよう。ここでは書いてないこと、沢山あった。沢山苦しんで、沢山成し遂げてきた。全部一人で。
「俺はお前ら人間には信じられない光景を見てきた。オリオン座の肩で燃え盛る戦闘艦、タンホイザーゲートの近くの暗闇で輝くCビームも見た。
そういう刹那も、時の流れの中に失われていく。あたかも、雨、の中の涙みたいに。死ぬ……時間だ」
最近見た映画、ブレードランナーの中の有名な台詞だ。
僕の内に秘めたもの全て、この歴史の中で、この宇宙の中で、僕にしか抱き得ないものだと信じていても。
死は容易くそれを奪い去る。死は、怖い。死は、悔しい。
それでも、積み上げた刹那さえ消え去るとしても、刹那の中を走り抜けるしかないのだ。それしか、もう残されていない。
過去も未来もない。世界は日々悪くなっていくと、頭の良くて怠惰な人々が口々に言う。今日も普通じゃない僕らは、自分になんの落ち度もない過去に苦しめられて、吐いたり泣いたり自殺したり寝れなかったりしている。
永遠なんてのは、恵まれた人間が夢見るものでしかない。
ふんぞり返って厭世してる時間も、誰かと同調してくだらない笑いに溺れる時間も、何かをお客様気取りで評価している時間もない。

なりふりなんて構う必要ない。後で思い出して恥ずかしくなる頃には、きっと俺は生きていないから。
今この瞬間、俺にはそれしかないのだ。

もし、もし一つだけ叶うなら。
この刹那の連なりに、何か一つだけ消えないものを。
小説を書く。僕にとって、それは願いを叶えるための賭けだ。